概要

タタール語はロシア連邦タタールスタン共和国を中心に、中央アジアなどの旧ソ連諸国、中国西部など世界中に散らばるタタール人によって話されている言語です。話者数は諸説あり、500万人から800万人とはっきりとした数字は分かっていません。テュルク諸語のひとつで、その中でもカザフ語やクルグズ語(キルギス語)などと同じキプチャク系と呼ばれるグループに属しています。

タタール語とひと口に言っても、その実態はさまざまです。例えば、文字に関してはロシア国内や旧ソ連諸国などではロシア語と同じキリル文字で書かれ、トルコや欧米諸国ではラテン文字のほうが好んで使われています。中国では、上の世代はアラビア文字、若い世代は表音漢字や中国語のピンインをもとにラテン文字で書くなど、表記方法は統一されていません。

ロシア国内で使用されているタタール語のアルファベット
ロシア国内で使用されているタタール語のアルファベット

また、タタール人のすべてがタタール語を話すわけではなく、暮らす土地の多数派言語のみを話す人も珍しくありません。例えば、ロシア国内のタタール人は基本的に国家語であるロシア語で教育を受けているため、タタール語よりもロシア語を得意とする場合が多いです。同様に、新疆ウイグル自治区に暮らすタタール人は中国語とウイグル語、トルコならトルコ語をより得意とする場合が多いです。

そのため、タタール語は将来的に”消滅の危機”を叫ばれる言語のひとつでもあります。そこで近年ではタタールスタン政府や若い世代のタタール語話者たちがタタール語保護運動を行っており、毎春タタールスタン共和国の首都カザンで「国際タタール語・タタール文学オリンピック」が開催されるなどしています。

「タタール語を話します」運動のステッカー(中村瑞希撮影)
「タタール語を話します」運動のステッカー(中村瑞希/撮影)

開設授業

現在、筑波大学での開設授業はありません。

勉強法

日本語で読むことができるタタール語の教材はありませんが、ロシア語や英語を通じて学ぶことができます。中でも、カザン連邦大学のタタール語教員らが中心となって制作したタタール語学習サイト「Ана теле (“母語”の意)」は良質な独習教材です。全てのコンテンツが無料で公開されており、初学者であってもタタール語をバランス良く学ぶことができるので、タタール語を学びたいと思ったら、まずこのサイトを利用してみるとよいでしょう。

また、近年は東京ジャーミー(東京都渋谷区)でタタール語講座(2015年現在、初級・中級がそれぞれ隔週開講)が開講され、タタールスタン共和国出身のネイティブの先生と学ぶことが可能です(こちらではラテン文字で教授されています)。

タタール語が学べる留学先

カザン連邦大学 (タタール語を専門とされる先生が多く、専門の学部も有)
キエフ国立大学 (文献学研究所、東洋言語専攻でクリミア・タタール語を学ぶことができる)
※筑波大学と交流協定のある大学

関連リンク

  1. Ана теле (タタール語学習ポータル・サイト)
  2. Turkbodnのblog (タタール語語講座の先生のページ)
  3. 「タタール語オリンピック参加記」(本稿筆者の大会参加記。タタール語に関する詳細も)

(執筆者:中村瑞希/筑波大学人文・文化学群人文学類4年,言語学主専攻,国際タタール語・タタール文学オリンピック入賞)

カザン・クレムリン (櫻間瑛/撮影)
カザン・クレムリン (櫻間瑛/撮影)
ガブドゥッラー・トゥカイ像 (櫻間瑛撮影)
ガブドゥッラー・トゥカイ像 (櫻間瑛/撮影)
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