10月中旬より市町村からマイナンバーが記録された通知カードが届く予定ですが、皆様は受け取りになられましたでしょうか。決してなくさぬようご注意ください。

 

*ちなみに、通知カードが届くのは住民票のある世帯ですので、大学生等で住民票を移してない方は実家に送られてきます。アルバイト等で申請時に必要となるので必ず受け取ってください。

ぼくは国際総合学類に所属の身でございますが、感心事は電子政府です。このマイナンバー制度について非常に関心があります。現在、せっかくリトアニアの地にいるものですから、こちらの電子政府政策を絡めて今回はお送りしようと思います。

 

まずは日本のマイナンバー制度について大まかに。

 

例えば、役所等で本人確認をするとき、これまでは「氏名」、「性別」、「生年月日」、「住所」の基本4情報をもとに個人の特定を行ってきました。しかしながら、これらは基本、性別を除き、生涯不変なものではないので、なにか変わるごとに役所に届け出を出さなければいけませんでした。

 

個人を特定する情報が変わりうる。

同姓同名、同じ生年月日、住所不明。。。

 

これらが問題になったのは、記憶に新しい「消えた年金問題」です。

 

なにを隠そうこの年金問題こそがマイナンバー制度導入の直接の契機になりました。

 

第一次安倍内閣が解散に追い込まれ、次の民主党政権時代にも依然として宙に浮いた年金問題が論点になり、個人を特定できる一生変わらない情報が必要となったのです。

*基本的にマイナンバーは一生モノですが、万が一漏洩し、被害を受けた場合番号の変更が可能です。この点が電子政府先進国(というより、世界一位)の韓国と違う点です。

 

このマイナンバーは国民全員に配布されます。
使用用途は当初は「税」、「社会保障」、「災害対策」の3分野です。確定申告や、医療や雇用保険の書類に必要となってきます。つまり、学生といえどアルバイトする場合に必要となってきます。

 

これだけですと、あまりメリットを感じないですが、もちろん政府は先も想定しております。

 

と、その前に。

 

通知カードだけでは、この先のメリットは受け取れません。

通知カードはあくまで個人の(マイ)ナンバーが記載されているだけで、本人確認には使用できず、本人確認には通知カードと写真付きの従来の身分証明証(例、運転免許証)、または、2016年1月より受け取れる 個人番号カード が必要となってきます。そして、この先のメリットはこの個人番号カードを所持していることが前提です。

 

個人番号カードとは、基本4情報、マイナンバーなどが記載され、ICチップも含まれているカードです。申請には、通知カードと同封されている書類にて行うか、パソコンまたはスマートフォンからも行うことができます。発行手数料は無料です。

 

ここからは政府が想定しているメリットを箇条書きで。

 

・国家公務員身分証としての使用

・社員証や民間ポイントカードとの提携

・マイナポータル始動

・公的個人認証書類(住民票や戸籍謄本)のコンビニ受け取り可

・興行チケットやSIMカード、酒、たばこ購入時の本人確認

・デビットカード、クレジットカードとの連携

・資格試験、入学試験の本人確認

・公的資格管理を公正化 など。

(上から順に導入予定)

 

詳しい説明はここでは避けますが、大雑把には

 

・公務員を減らす

・高額所得者の脱税を逃さない

・本人確認の場に人間を介在させない ことだと思います。

 

個人が役所に行く必要がなくなってくれば公務員は減るでしょう。煩雑な手続きもこれからはネットを介し、自宅から行えます。その際、個人番号カードのICチップをリーダーで読み取り、かつパスワードが必要です。

 

銀行カードとの連携により、所得の虚偽の申請ができなくなります。このことはつまり、国家に預貯金がすべて把握されることを意味しています。プライバシーの侵害と見られるかもしれませんが、冷静に。こうでもしないかぎり、格差是正、累進課税による所得の再分配は難しいのです。

 

従来より何らかの事故は人員ミスが7割と言われています。機械の誤作動よりも人間によるミスの方が圧倒的に多いのです。しかも、人間を介在させると時間がかかります。ましてや、その情報が合っているかどうかの判断は人間がしなくてもいいというのが個人的意見です。

 

近い将来には、この個人番号カードと運転免許証、医師・教員免許、健康保険証、お薬手帳などが一体化される予定です。上記の銀行、民間ポイントカードとの連携を踏まえると、お財布の中、本当にこれ一枚で済む時代が来そうです。
そして、さらに、この個人番号カードはスマホで代用することも視野に入れられています。もはや、カードもいらないかも。。。。。

さらに、さらに、

 

2019年には
個人番号カードもスマホも持たない場合、予め本人確認を済ませた「生体情報」にて認証可能を目指しています。つまり、指紋認証や虹彩認証のことですね。もはや、なにもいらない。。。

これを

すごい!、と捉えるか、
怖い!と捉えるかは別れるところでしょう。

 

おそらく、心配事はセキュリティの分野、詐欺の多発や情報漏えいだと思います。

これらについて結論から言うと、システムやサービスの仕組み上では問題ありません。

なぜなら、国のセキュリティは制度面とシステム面でしっかりとした対策が講じられているからです。

 

制度面とは、大まかには法律面です。

マイナンバー法という法律の下、違反者は厳しい罰則が設けられています。例えば、snsなどで第三者のナンバーを公表した場合、捕まるでしょう。

 

確定申告で社員全員のマイナンバーを企業は処理しなければなりません。法律では、その専門職を置くように命じ、マイナンバーを収集、使用できるのはその人だけに限っております。その人は責任重大となりますが、ナンバーの保管方法も国はガイドラインを指定しています。それでも、「ハッキング行為など受けたらひとたまりもない」と思うかもしれません。

 

これまた年金についての問題ですが、ついこの前、ハッキング行為を受け、国民年金情報が流失したことや大手教育企業の情報漏洩が発覚しました。

 

しかし、これらの手口は、前者は人為的初歩的ミス、後者は内部犯によるものでした。

 

ハッキングと呼ぶと恐ろしい感じを受けますが、その被害の多くは、人為的初歩的ミス、内部犯の仕業です。つまり、正しい指導と法律による制限、罰則により防ぐことができます。

 

確かに、扱う情報が増えることにより、漏洩した場合の被害は大きくなるでしょう。しかし、個人レベルでセキュリティに対し、正しい予防策を講じる絶好の機会だと、情報セキュリティ研究室に所属する僕は感じます。

 

システム面では、主なものは箇条書きに記したマイナポータルのことです。

これは、個人が、そのナンバーを使用し情報を得た者がいつ、だれなのか、ということをチェックできるサービスのことです。つまり、個人情報を有し、アクセスできるのは国家、あるいは公務員ですが、彼らはアクセスするごとにそのログが記録されるということです。

 

例えば、あなたがこのサイトにログインすると、あなたの情報にアクセスしたもののリストが表示されます。
「あ、確かこれは、住民票をコンビニで受け取った日だから、適切なものだわ。でも、変ね、この欄の警察の人が私の情報にアクセスしている。。。見に覚えがないわ。。。怪しい。問い合わせてみよう。」

 

 

と見事、警察という職権を乱用し、個人をネットストーカーしていた警察官が上記により捕まりました。

 

 

 

エストニアで。実話です。

 

 

 

はい。

 

ここまで、日本のこれからのマイナンバー制度を見てきました。

しかし、諸外国ではマイナンバー制度はもはや当たり前です。

 

ここリトアニアにもあります。

 

データベースの授業をこちらでとっているのですが、授業中「日本のマイナンバーの仕組みはどうなっている?」と尋ねられ、「日本にはそのような仕組みはまだありません」と言ったら、「おいおい。嘘だろ。あの日本だぜ。じゃあ、一体どうやって個人を特定しているんだ?まさか、氏名とか変わりうる情報をもとに判別しているのか!?」と言われ、「ええ、彼らは天才ですね」と返したら、

 

 

ウケました笑

 

冗談はさておき、
例えばリトアニアでは2009年にこの制度が始まり、現在ではインターネットアクセス人口の45%がこのサービスを使用しております。今までのところ、大きな情報漏洩は起きてません。

 

ブループリントも上記の箇条書きとほぼ同じ内容で、試験時の本人確認としての使用許可が現在の段階ですが、民間との提携はまだのようです。

リトアニアに住む才女によると、リトアニアでの問題点は

1,サービスが国家レベルにとどまり、まだ民間レベルとの連携が図れていないこと

2,農村部でのサービス使用率が低いこと(使い方がわからないひとが多い)

3,プライバシーの侵害の恐れ

4,サイバー攻撃の危険性

 

3と4は永遠の課題でしょう。1と2は現実的ですね。

 

なお、万が一マイナンバーが漏洩した場合、そこから芋づる式に個人情報が漏洩するということはありません。

 

マイナンバーから個人情報をたどる場合、先ほどのマイナポータルを経由することになります。

 

これにログインするためには個人番号カードそのものを読み込ませ、かつ4桁のパスワードを入力しなければならないからです。

 

ゆくゆく追加される医療情報をさらにそこから閲覧するためには、別途6〜16桁のパスワードが必要です。

「そんなこと言っても、サーバーそのものが攻撃された場合、どうするんだ?」
という意見もございましょう。
それについては、国のセキュリティを信頼するしかありません。

そもそも、疑い出したら銀行はおろか、スマホさえ、同じ理由で使えなくなります。

 

信じましょう。

 

 

おわりに。

マイナンバー制度は、電子政府の一部です。電子政府とはICT(Information and Communication Technology)を利用し、政府の改善、行政の効率化を図るものです。

簡単には技術の恩恵を利用し、サイバー空間上で国民と政府の距離を縮めましょう というものです。

 

世界的にはエストニアや韓国、シンガポールやアメリカが電子政府としては進んでいます。国連電子政府ランキング2014では日本は6位ですが、専門の人に聞いてもこの結果には疑問だそうで、エストニア政府のほうが断然進んでいるそうです。

 

エストニアは世界で初めて電子投票を国政レベルで実施し、電子政府界を牽引してきました。個人番号カード(エストニアでは国民IDカード)も2002年からと、導入は日本の14年前です。今では、国外にいながらの電子投票は当たり前、むしろ国外にいても「電子居住」できたりします。早い話、日本にいながらエストニアで会社作れて、税金も払えるという仕組み等です。将来的には、国家システムそのものをサイバー空間上に移行するつもりらしいです。(これは、国土という概念を捨てることに近いです。常に隣のロシアを警戒し、仮に再び領土が奪われたとしても、国家システムをしてのアイデンティティはより安全なサイバー空間で守る、という意味らしいです。)

 

なお、エストニア、リトアニアでも導入前は日本と同じように懸念があったそうですが、現在では国民の支持は高く、むしろ誇りに思う人が多いです。

 

ひとつ指摘されているのは、カードを読み込むリーダーに細工(スキャミング加工)し、データを乗っ取ることが比較的容易ということですね。

 

皆様は電子政府についてどうお考えでしょうか。
もちろん、市政レベルでの電子政府もあります。日本だと鯖江市や流山市が有名ですね。

 

いろんな意見がございましょうが、ぼくは賛成です。

 

近い未来が楽しみです。

 

追記;

アメリカの社会保障番号制度と比較して日本のマイナンバー制度に批判的な意見も見られますが、仕組みは大きく違います。国民一人ひとりに番号が配られるという1点だけを見て、同じ基準で比較するのはナンセンスです。

 

参考文献、記事:

・週刊東洋経済2015年10月3日号

 

・OECD Reviews of Regulatory Reform Regulatory Policy in Lithuania Focusing on the Delivery Side

 

・Handbook of Research on E-Government in Emerging Economies: Adoption, E-Participation, and Legal Frameworks

 

http://en.delfi.lt/lithuania/society/lithuanians-trust-in-e-government-services-growing.d?id=66907588

 

https://www.epaslaugos.lt/portal/

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