現在、新経済大学に留学中 人文学類3年 中川雄太

今回の留学レポートはカザフスタンの乳製品事情について書きたいと思います。ここアルマティで生活していると、いかに乳製品のバリエーションが豊富で、これらの乳製品が現地の生活に欠かせないものであるかが感じられます。

それはなぜでしょうか? いくつか推測をしてみました。

まず歴史的(かつ地理的)に見てみると、カザフスタンがいわゆる「草原の道」に位置していることが要因のひとつであるように思われます。現在のウズベキスタンなどにあたる「オアシスの道(絹の道)」など、肥沃な土壌に恵まれている地帯に比べて、カザフスタンはその国土のほとんどが乾燥地帯に位置しています。水資源が豊富なオアシス地帯に比べて、草原地帯では耕作がしづらいことは想像に難くありません。そのため、現在のカザフスタンの地域で生活していた遊牧民たちは、オアシス民が野菜などから補給していたビタミンなどの栄養素を乳製品によって補っていたのでしょう。
ちなみに、他の日本人留学生仲間が言うには、アルマティのバザールで野菜や果物の産地を調査したところ、現在でも野菜は主にウズベキスタン、つまりオアシス地帯で生産されたものがカザフスタンに輸入されているそうです。現代でこそ、他国からの農作物の輸入は難しくありませんが、駱駝や馬を運搬手段として交易を行っていた時代には大変であったことでしょう。乳製品を野菜に代わる栄養源として食することは合理的だったのかもしれません。

次に食文化的な側面から見てみます。上の歴史的な経緯もあってか、伝統的な料理に乳製品がよく使われています。また、食事の際に乳製品を一緒に食することも多いです。例えば、ナウルーズという祝日に食べられる「ナウルーズクジェ」というお粥には馬肉や羊肉の煮汁と共にアイランやクルト(後述)などが使われますし、大学の学食にも同じくアイランやスメタナ(後述)は置いてあります。ここでは、これらのような乳製品は食文化・食生活に欠かせない存在なのでしょう。

また現在のカザフスタンの地理を考えてみても、広大な草原地帯が低コストでの牧畜を可能にしており、このことがこの地域の乳業に及ぼす影響は大きいのではないでしょうか。(中央アジア地域の生乳の生産システムについては正直あまり理解できていないので、調べてみる必要がありそうです。中途半端なことを書いて申し訳ありません。)

これらの要因が、この地域での乳製品の大きな需要とそれに応える供給、製品の豊富なバリエーションを実現させているのではないかと思われます。

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次に、日本ではあまり見かけることのないものを中心に、この地域で販売されている幾つかの乳製品を簡単に紹介したいと思います。

 アイラン

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学食やドネル(ケバブ)ショップでは定番です。パッケージによって塩辛さがまちまちな気がします。ヨーグルトに水と塩を混ぜて作られているそうです。

 クルト

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塩辛いミルク風味のおつまみとでも言いましょうか。完全に乾燥しているタイプと湿り気を含んだタイプがあります。ヨーグルトなどを塩を加えつつ脱水・乾燥させて作るようです。

 クムィス

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日本語でいうところの馬乳酒です。酸味の強い飲み物ですが、さっぱりしていて美味しいです。酒という字が付くだけあって、ごく少量のアルコール分を含んでいます。天酒程度と考えて頂ければ間違いないですね。馬の生乳を発酵させて作るようです。

 シュバット

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駱駝の生乳を発酵させて作るようです。クムィスよりも色が濃く、クセも強いように感じます。申し訳ありませんが、これは形容しがたい味です。笑(僕は割と好きですが、大量に飲むものではなさそうです。)

 タン

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牛や山羊の生乳を発酵させて、塩水で割って作られているそうです。クムィスやシュバットほどのクセはありませんが、塩水で割っているだけあって塩辛さがあります。

 スメタナ

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いわゆるサワークリームです。そのまま食べるのではなく、ボルシチ等のスープに加えたり、マンティ(蒸した肉まんじゅうのようなもの)などにつけて食べます。クリームを乳酸菌で発酵させて作るそうです。

 トゥヴァローク

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コテージチーズに近いです。そのままでも牛乳の香りがして美味しいのですが、ジャムなどを少量加えるとデザート感覚でさらに美味しく食べることができます。家庭でピロシキなどを作るときにも具材としてよく使われます。スメタナなどを作る過程で残る脱脂粉乳のようなものから作られているようです。

 その他、日本でもお馴染みのもの

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スーパーに行けば、牛乳やヨーグルト類など、日本でも売られているものも当たり前に並んでいます。しかしそこで驚かされるのは、そのバリエーション。同じ牛乳にしても様々なパッケージがあるのはもちろんのこと、さらに同じパッケージでも脂肪含有量別に4種類ほどのバリエーションがあります。こちらにいらっしゃったら、ぜひとも目を留めて頂きたいポイントです。

この地域の乳製品の多様性を感じて頂けましたでしょうか? 乳製品が好きな方にはたまりませんよね。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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